No. ¹⁹4 ナイト ミュージアム in 広島

         
イーゼルに立て掛けられたセザンヌの絵画。彼は『近代絵画の父』と称されてピカソ等に影響を与えた。背後の絵画は『青の時代』のピカソの作品
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 令和6年(2024年)5月4日、最少でも月に1回はひろしま美術館で絵画鑑賞をするヘビーリピーターの女将剣道だが、この日は絵画鑑賞ではなくて演劇鑑賞でもない今マスコミで話題の『没入感(イマーシブ)』と銘打った新感覚アートが美術館閉館後に始まった。
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突然、暗闇の中からランタンを持ったゴッホが現れて、観客を巻き込んだ『没入感』の新感覚アートの開始
 午後5時美術館閉館。その後の午後6時に美術館のシャッターがこの日2回目のオープン。観客は館内の喫茶店に集合し、ワインかソフトドリンクのウェルカムドリンクのサービスを受けて、ランタンを手に漆黒の美術館内へ。オープニングはゴッホの「私の猫はどこに行った?」の問いかけから。             f:id:okamikendou:20240510061412j:image
  印象派のマネ自身による絵画解説     
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ピカソに影響を与えたセザンヌピカソの作品の前で、ピカソを代表とするキュビズムの絵画解説
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  モネによるセザンヌ作品の紹介
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  ルノアールの自作彫刻の解説
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左耳を剃り落としたゴッホが「私が描いた黒猫はどこ?」と観客に問いかける
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 ひろしま美術館の学芸員に「広島にこの絵画がある事自体が奇跡」と言わしめた、ひろしま美術館を代表する『ドービニーの庭』。ここにある絵画には、もう一枚の同じ構図の絵画には描かれている黒猫がいない。これは1901年にゴッホの友人で画家のエミール・シェフネッケルが、黒猫がいない方がこの絵画の価値が上がる、として上塗りして消したとされているからだ。  f:id:okamikendou:20240510062540j:image   
ひろしま美術館の『ドービニーの庭』 f:id:okamikendou:20240510062609j:image          
スイスの美術館にある、黒猫が描かれた『ドービニーの庭』       
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右側はゴッホ、左側はルノアール、中央には一貫して裸体を制作し続けた彫刻家マイヨールの裸婦像『ヴィーナス』

 晩年はリューマチに苦しんだが、筆を手に巻き付け、絵画を描き続けたルノアール。自ら左耳を剃り落としたゴッホ。両者とも印象派画家を代表する巨頭だが、女将剣道は彼らに語りかけられてそれに応え、一方通行の絵画鑑賞や演劇鑑賞と違い、観客がその異空間に引き込まれていき、その空気感を共有する。これが新感覚アートの『没入感』なのか。